太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第4話 ☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?
(前回までのあらすじ)
ローズちゃんに恋の意識を持った僕は、だんだん近づきたいのに近づけなくなっていく。
そのもどかしさとせつなさのすべてをお酒を飲んでごまかした。
お酒の量が増えるにつれて、今までおさまっていたアトピーの症状が出始めた。
このころ、ローズちゃんの帰国日まで2週間を切っていた。
(第3話をまだの方はこちら)
-第4話- 近づきたいけど、近づけない
ローズちゃんの帰国日をだんだん意識するようになっていた。
2週間もたたないうちに、彼女は国に帰る。
彼女の国は東欧ポーランドだ。
20年前は、インターネットも発達しておらず、国際電話料金も高かった時代。
ヨーロッパに初めて行った僕にとっては、ポーランドは遠く遠くにある寒い国というイメージだった。
遠く離れた日本とポーランド、彼女が国に帰ったら、僕たちはもう2度と会うことはないだろう・・・
彼女の帰国日が近づくにつれてお酒の量も増えていく。
もう2度と会えなくなるだろう・・・
おぼろげに感じていた感覚が、より現実味を帯びてきた。
もう2度と会えない。
僕は、夜になると、ウオッカやジンなどきつめのお酒を買ってきて、夜な夜なバラードを聞きながらお酒を飲んだ。
そして酔っぱらいながら、僕の住んでいたピソの5階の窓から、向いのピソの少し下に見える窓を覆っている深緑の扉に目をやる。
ローズちゃんは道路を挟んだ向かい側のピソの深緑の扉のある部屋に住んでいた。
誤解のないよう付け加えておくが、扉は開いていたことがないし、僕はただそこにいるということを感じていたかっただけだ。
決してのぞきたかったわけで
今、あの部屋で寝てるのかな・・・
そんなことを想いながら、夜な夜な飲んでいた。
お酒を毎日のように飲んでいたからか、アトピーが薬で抑えても効かなくなっていた。
飲んでないときでも顔が赤くなったり、身体中の肌がざらざらになることもあった。
薬の塗る量を増やし、なんとかとじこめた。
僕はこんな状態でローズちゃんに会いたくはなかった。
でもそれに反し、彼女の帰国日が近づいてくると、恋しいという想いが大きく膨れ上がっていく。
会いたい。
でも会いたくない。
自分の中にある会いたいという大きな想いに気づきながらも、こんな状態では、会いたくないと思わせるアトピーが邪魔でしょうがなかった。
もっと健康であったなら・・・
何度思ったかわからない。
しかし、僕を止めていたのは、アトピーだけではない。
アトピーも止めていたという感じだ。
寂しいという想いと向き合うことができない僕のままで会う辛さの方が、もっと大きかった。
会えば、寂しさ倍増、辛さ倍増だったのだ。
これだけへこんだ状態で、今までのように笑って話せる自信もなかった。
それでも、ローズちゃんと教室やバーで会ったときは、できるだけ話しかけるようにした。
そして、できるだけ普通に接することに努力した。
近づけない、会うと辛いという想いもあったが、一緒にいる時間を共有したいという気持ちの方が強くなっていた。
あと数日で2度と会えなくなる・・・
その感覚を全身で感じていた。
会わずにはいられなくもなる。
話をしていても、寂しさ、切なさを感じながら、心のどこかで必死に距離をおいている僕がいた。
へこんでいることがバレないように、そして、これ以上好きになってしまうともっと苦しむことになるという恐れもあった。
もっと仲良くなりたい。
でも仲良くなっても、あと数日で国に帰ってしまう。
仲良くなったら余計に苦しさが増すだけだ。
これ以上苦しくなったらもう吐きそうだ。
それならむしろ、仲良くならない方がいい。
この気持ちは伝えないでおこう。
自分の中にしまっておこう。
・・・いろんな想いが入り交じり、そのすべてをお酒で体の中に流し込んだ。
時は容赦なく過ぎ去っていく。
ローズちゃんの帰国まで1週間を切っていた。
そのころには、今まででも十分にきつかった寂しさが、さらに増して耐えがたい大きさになっていた。
もう2度と会えないという事実が、これほど僕を苦しめるとは想像もできなかった。
今生の別れとはこんな感じなのだろうか・・・
これまで経験したことのない耐えがたい寂しさだ。
寂しさという言葉で表現しきれない、何かが足りないという恐怖ともいえる感覚。
英語でいうとMissing 欠けている 、 I miss you. あなたがいなくて寂しい。
これのめーっちゃでっかい版だ。
言葉では到底表現できそうにない。
それでも、あえて言葉にするなら、吐きそうな寂しさ・・・
こんなに吐きそうな寂しさを今まで経験をしたことがなかった。
お酒をいくら飲んでも消えることのない寂しさが、ただただ膨らんでいくばかりだった。
抱えきれない寂しさに困り、まくらに顔をうずめて、思いっきり泣き叫んだりもした。
もう、恋しているという気持ちが、大好きだという気持ちに変わっていた。
ローズちゃんが帰るまであと、1週間を切っていた。
帰らないで欲しい、
ずっと一緒にいたい・・・
本人には言えず、ずっと、何度も頭の中で繰り返された言葉だ。
続く
第5話はこちら
P.S.
当時を思い出すと、アルコール中毒ではないかというくらいお酒を飲んでいたと思う。
そして、たばこも吸いまくっていた。
でも、それはそれで仕方がなかったとも思う。
あの時は、寂しさを紛らわす方法をお酒やたばこしか知らなかった。
それ以上に、お酒でもないと、とてもではないけど耐えることが困難な今まで経験したことのない大きな寂しさだったから。
寂しさという言葉で表現しきれないほどのものだったことを覚えている。
もう2度と会えないってことが、本当に辛いものなんだって強く感じた経験でした。
by 自己卑下上等 自己肯定感を高める 炎のメンタルコーチ 平山 仁一
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