太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第9話 ☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?
(前回までのあらすじ)
ポーランドに会いに行きたい・・・
僕の強い願いとは裏腹に、ローズちゃんはあまり気が進んでいないようだった。
彼女は、もう僕のことを忘れたのかもしれない。
このままポーランドに行っても振られるだけかもしれない。
僕は、彼女の心が離れていることに気づいていた。
それでも、行かずにはいられない僕がいた。
こんなモヤモヤを抱えながら、
2度と会えないまま、
ずっと生きていくのは耐えられそうになかった。
こうして、逆風の中、僕のポーランド行きが決まった。
前話 第8話をまだの方はこちら
-第9話- 再会
1999年 2月 アリカンテ 冬
僕は、ポーランドに行く準備を進めていた。
何度かの電話で、彼女の心が遠ざかっていることに僕は気づいていた。
彼女が帰国する前にたしかに感じることができた、あのつながれた感覚・・・
その感覚をみつけることはできなかった。
ポーランドに行っても、振られるだけかもしれない
みじめな思いをするだけかもしれない・・・
何度も浮かんでくる不安をかき消すように、僕は準備をしていた。
会えば何とかなるかもしれない
わずかな期待を抱きながら。
ポーランド入りのVISA取得のために、首都マドリードにあるポーランド大使館まで、スペインの田舎風景を眺めながら列車で数時間かけて旅したことも、飛行機でスペインを出て、ドイツの見知らぬ街に行くことも、ドイツから列車でポーランドに向かうということも、そのすべてが僕には新しいことだった。
今でこそ海外にいくのは当たり前のように感じるが、当時の僕には、不安と好奇心の両方が入り混じった冒険のようなものだった。
ドイツに着いた僕は、翌日のポーランド行きの電車まで時間があるのでドイツの街を探索した。
ドイツにはスペインとはまた違う雰囲気を感じた。
町の風景はモダン化されているイメージがあり、人々の雰囲気はなんとなくスペイン人より堅いように感じた。
スペインという国には、人を陽気にさせる、人と人との間に親近感を感じさせるなにかがあるのかもしれない。
そして、翌日に乗ったポーランド行きの列車では、ドイツで感じたよりもさらに堅い感じ、アウェイ感のようなものを感じていた。
列車の中は少し薄暗かった。
薄暗い列車の中で、防寒具を着こんだ人たちが、なにをいっているかさっぱりわからない言語を話していた。
異国に来た不安をあおる。
僕が、東欧に対して持っていた”寒くて少し影のある国”という印象がそのまま投影されていただけかもしれないが、列車内でパスポート検査をする検査員も冷たそうな雰囲気を感じた。
その冷たそうな検査員が近づいてきて、パスポート検査をされたときは妙にドキドキした。
何もやましいことはしていないのに、なんとなく逮捕されそうで、不安だった。
学生VISAも持たないで、飛び出した罪悪感からかもしれない。
無事パスポートチェックも終えて、いよいよ彼女の住んでいる町、ポズナンへの到着時間が近づくにつれて、ようやく不安は消えていき、彼女に会える期待感に意識が向いていく。
駅に着く前、着いた時、列車を下りたとき、いちいち胸の鼓動が高まった。
もうすぐ、
もうすぐ、もう2度と会えないと思っていたあの娘にまた会えるのだ。
経験したことのない大きな期待感で胸がいっぱいになっていた。
そして、その胸の高まりがおさまらないまま改札に向うと、その向こう側に待っていてくれているローズちゃんがみえた。
うわ、ローズちゃんだ。
僕の胸のドキドキは頂点に達していた。
ここで、前方宙返りはせずに
僕は、ローズちゃんに凛々しい笑顔で手を振った。
凛々しい?
緊張がばれないように、平静を装って、再会の場に ”凛々しく” 登場したかったのだ。
凛々しくみえたかどうかは誰も気にしない僕だけの世界
数か月ぶりにみたローズちゃんは、まだ暑かったアリカンテでみたときとは、別人のようにみえた。
もともと白かった頬が真っ白になっていた。
その頬を赤らめて、あったかそうな防寒具に包んで白い息を吐いていた。
ポズナンの2月初旬の夜は氷点下だ。
冬のアリカンテも寒かったが、それよりも一段も二段も寒かった。
ポズナンの駅はめちゃめちゃ寒くて暗かったが、そこにローズちゃんがいるだけで、僕の心はポカポカと温かくなっていた。
ポーランドの挨拶はほっぺたとほっぺたを合わせて挨拶をするらしい。
ポーランド流あいさつで出迎えられ、ますます心が高鳴った。
日本のおじぎの挨拶とは違って、人と人との親近感をすぐに近づけさせてくれるような挨拶だった。
ポーランドに来る前は、振られに行くようなもんだとかいろいろ悩んだけど、もう一度会えたことが嬉しくてたまらなかった。
駅からホテルまでは車で送ってくれた。
助手席からあらためて運転席のローズちゃんをみると、スペインでみたときとはやはり違って見える。
当たり前といえば当たり前なのだが、ポーランドに住んでいる人だと感じた。
その土地に根付いて住んでいる人を見るのと、バカンスで遊びに来ている人を見るのとでは、同じ人でも違ってみえるのは当然かもしれない。
異国の地だからか、寒くて薄暗いからか、僕が緊張していたからかはわからないが、スペインにいたときの雰囲気とは違って、少し違って見えたのだ。
その日は夜だったのでそのままホテルまで、送ってくれて、翌日から会う約束をした。
彼女の住む街、ポズナンの観光だ。
僕は、異国ポーランドという国に初めて降り立った新鮮さや、もう会えないと思っていた彼女にまた会えた嬉しさの中で、なかなか眠りにつくことができなかった。
続く
写真はポズナンの街の風景
次回 第10話は こちら
P.S.
しばらく間が空いてしまいました。
1週間ほど実家に帰っていたのですが、こういうのは、やっぱり家族とは離れたところで一人でドヨーンと書くのがやりやすいかも。
どよーん! (‘Д’)
by 自己卑下上等! 自己肯定感を高める 炎のメンタルコーチ
無意識を味方につけて恋愛力を高める 恋愛改革コーチ
平山 仁ー
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