力を失うアイデンティティから力がみなぎるアインデンティティに変えて、その人本来の魅力と能力を引き出し、本領発揮できるようにサポートします。

太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第7話 ☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?

 

 

 

         第2部 

 

1998年 12月暮れ 冬 

 

アリカンテも冬になると、ジャケットを着なければならなくなるほど寒くなる。

 

ローズちゃんが帰国してから2か月近くがたっていた。

 

彼女が帰国してからも、アリカンテの日常はいつものように訪れる。

 

でも今までとは一つだけ大きく違うことがあった。

 

教室にいっても、語学学校の近くにある学生のたまり場になっているカフェテリアにいっても、ビーチにも、ナッタンにも、どこにいっても、いままで当たり前のようにいたローズちゃんがいない。

 

今まで当然のようにいたところで、いないことを確認させられるのはとても辛かった。

 

僕にとっては、明るく陽気だったアリカンテの町が、灰色の雲に覆われた寒々しいところに変わっていた。

 

たった一人の人間が、僕にとってのアリカンテという町の印象を大きく変えていたことを、このときになって思い知らされていた。

 

僕はローズちゃんがいるアリカンテという町が好きだったのかもしれない。

 

ローズちゃんのいないアリカンテは、毎日、息をして過ごすだけでも苦しかった。

 

僕は、昼間からお酒を飲んでいた。

ウオッカとかジンとかすぐに酔わせてくれるやつだ。

 

お酒ばかり飲んでいる僕を、ピソの仲間が心配してくれて、控えた方がいいと声をかけてくれたが、やめることができなかった。

 

ずっと酔っぱらった頭でいると、胸の痛みに鈍感になることができたから。

なることができると思っていたといった方が正確かも知れない。

 

 

 

僕はローズちゃんが帰国後しばらくして、彼女に手紙を書いていた。

 

僕がそのときどんな内容を書いたまでは覚えていない。 

 

当時の国をまたいだ手紙は届くのが遅く、やりとりに1か月以上かかった。

 

ローズちゃんの返信の手紙を受け取ったのは、彼女が帰国してから2か月がたったころだった。

 

 

家にはなになにという犬がいるのよ。

 

この犬はいつもなになにでね・・・

 

私は今、弁護士になるために試験勉強で大変なの・・・

 

ポーランドに遊びにくる?

 

 

近況や、飼っている犬のたわいもない話が書いてあった。

 

こころ温まる手紙だった。

 

そして、ポーランドに遊びにくる?という言葉に心が惹かれた。 

 

ポーランドか・・・

 

行ってみたい、でも・・・

 

当時、僕には学生VISAの問題があり、スペインから出るということは、再入国できないリスクがあり、考えたこともなかったことだ。

 

スペインに90日以上滞在する場合は、学生VISAの取得が必要だったが、僕の学校では取得することができなかったのだ。

 

すでに90日以上滞在していたので、なにかのきっかけでVISAを持っていないことがみつかってしまうと、スペインにいられないかもしれないという不安を感じながら暮らしていたのだ。

 

スペイン国外へ出るとなると飛行機を使うことになり、パスポートの検査がある。

 

もしスペインから出て、スペイン再入国時に厳しくチェックされたら、学生VISA未取得がみつかって入国できなくなるなんてことがあるかも知れない。

 

そんな怖さがあった。 

 

ポーランドに行くということは、スペインに戻れないリスクを意味していた。

 

 

 

手紙をもらってからも、アリカンテで抜け殻のような日々を過ごしていると、アリカンテにいる理由がわからなくなっていた。

 

 

ポーランドか。

会いに行けたらな。

でも、会いに行ったら、スペインに戻れないかもしれない。

それはできない。

 

やっぱりポーランドに会いに行きたいな。

でも会いに行ったら・・・

 

 

頭の中で、壊れたレコードのように何度もぐるぐるしていた。

 

 

そんな中で、ポーランドに行く方法がないか頭を巡らせていた。

 

友達にも話したりしていると、EUの国同士での出入国は、パスポートチェックが簡易というのを聞いた。

 

そうして、いろいろ調べていると、ポーランドへの直行便ではなく、一旦ドイツに入って、ドイツから電車でポーランドに行けるというルートを発見した。

 

これなら、うまくいくかもしれない。

 

いやたぶん大丈夫だろう。

 

それでも、簡単に決めることはできなかった。

 

スペインに戻れないかもしれないという不安を、完全には拭い去ることができなかったから。

 

 

それでも悩み続けると答えは出るものだ。

 

僕は腹を括ったのだ。

 

もう最悪は、スペインに再入国できなくてもいい。

 

1年の予定だった留学が、5か月足らずで終わってしまってもいい。

 

こんな気持ちのままで、会わないで、これからやっていくことの方がつらい。

 

行かなければ、きっといつか後悔することになる。

 

ポーランドに行きたい。

 

僕の中で決意が固まっていった。

 

 

が、

 

 

 

僕の決意とは裏腹に、気持ちのすれ違いがおこっていることに、そのときの僕は知る由もなかった。

 

 

 

続く

 

 

次回  -すれ違う想い

 

 次回第8話は こちら

 

 

P.S.

これから先の話は、あまり気分のいい話ではないかもしれないです。

 

楽しくて笑える話を期待されているとすれば、第一部で終わった話とした方がいいかも、笑

 

 

 

by 自己卑下上等! 自己肯定感を高める のメンタルコーチ 

  無意識を味方につけて恋愛力を高める 恋愛改革コーチ

  平山 仁ー 

  

音を無視して生きていけるほど人生は短くない、

むしろあまりに長い。

だから人は本音に向き合う時がくるのだろう。

あなたは、本当にしたいことに生きていますか?

 

 

 

1)コーチングセッション

以下2種類のメニューをご提供しております。

 

☆恋愛改革コーチング(NEW)

無意識を味方につけて恋愛力があなた史上最高最善になります。

詳細は、こちらを押してください。

 

☆自己肯定感コーチング

自己否定/自己非難が解消、緩和し、自己肯定感が高まります。

詳細は、こちらを押してください。

 

いずれも、潜在意識にアクセスしますので、即効性があり、大きな変化と気づきをもたらします。

 

 

2)体験セッション

初めての方のために、割安な価格で、体験セッションを募集しています。

ただいま、募集しているセッションはこちらです。

 

 3)お問い合わせについて

個人セッションに関するご質問やお申込み、その他ご質問などございましたら、

こちらのお問い合わせフォームよりご連絡をお願いいたします。

 

 4)プロフィール

平山 仁一プロフィール

 

<参考記事>

■恋愛関連

太陽系で一番難しい恋 第1話

どうして人を好きになると、本当にしたいことと違う行動をしてしまうのか?

恋愛に苦手意識のあった僕が高校生の時にこのことを痛感した体験をストーリーにしました。

同じようなことで恋愛に苦手意識を持っている人を恋愛コーチングで応援しています。

 

太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第1話 

☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?

もともと人を好きになるとぎこちなくなってしまうという弱点があり、ただでさえ苦手だった恋愛に、ハードルがてんこもりで加わった難易度S級の恋愛に向き合ったスペインでの恋のお話です。 

好きな人に想いを伝える難しさを痛感した経験をストーリーにしました。

同じように恋愛に苦手意識を持っている人を恋愛コーチングで応援しています。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。