太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第5話 ☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?
(前回までのあらすじ)
ローズちゃんの帰国日まで1週間を切っていた。
もう2度と会えないと思うと寂しくてたまらなくなっていた。
耐えがたいほどの寂しさを紛らわすため、お酒の量はどんどん増えていき、収まっていたアトピーも悪化していく。
近づきたいのに近づけない。
ローズちゃんと会って話をしていても、寂しさが漏れないように、切なさが漏れないように、心の中では距離をおいている僕がいた。
前回第4話をまだの方はこちら
-第5話- 抑えられない想い
ローズちゃんの帰国日まで一週間を切っていた。
僕は夜になると、いきつけのバー、ナッタンに行ってはお酒を飲み、ローズちゃんが来ないか期待しながら待っていた。
近づきたくても近づけないというもどかしさを超えて、会いたいという想いの方が強くなっていた。
あと数日後には、もう2度と会えなくなる...
会わずにはいられないのだ。
ローズちゃんがナッタンに顔を出したときは、胸が弾んだ。
やっぱり好きなんだな~と心の底で感じながら、好意も寂しさも、はみでないように繕った。
でも、たぶん、もう寂しさが漏れていたのだろう。
笑えないのだ、笑おうとすると顔が歪んでしまう感じだ。
どうしても寂しい顔になってしまっていたのだろう。
? Que pasa ? (ケパーサ) どうしたの? という言葉がけを何度かもらった。
Nada (ナーダ) なんにもない。 と答えていた。
お酒で寂しさを紛らわす夜が過ぎ、帰国日が日に日に迫ってくると僕の中の何かが変わっていった。
それは、どうせ2度と会えないんだ、気持ちを伝えても意味がない、苦しむだけだとずっとしまっていた彼女への想い。
好きだという想いを伝えたいと思うようになっていた。
もう2度と会えないんだ、気持ちだけは伝えたい・・・
・
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さらに時は過ぎ、ローズちゃんの帰国日まで残り3日となっていた。
その日は、日本人友達たちが企画した日本食パーティーの日だった。
ローズちゃん、僕と同じクラスにいた日本人女性が気を利かせてローズちゃんをパーティーに招待してくれた。
数人の日本人と数人のスペイン人、ローズちゃんで日本食パーティーをしたのだ。
このときの僕はローズちゃんとあまり緊張することもなく、楽しく接することができた。
自分の中でとっていた心の距離も解除していた。
ローズちゃんと一緒に刺身を切ったりして盛り上がった。
僕は、美味しい食事と楽しい会話をしながらも、ある想いのことに頭を巡らせていた。
今夜、ローズちゃんに気持ちを伝える!
この機会しかチャンスはない。
もう振られてもどうでもいいと思っていた。
2日後には帰国するのだ。
最悪気まずくなっても構わない。
この気持ちだけは出さないと。
もう、口から生まれそうだったのだ。
ローズちゃんへの想いを身体の中に抑えておくことは、もはや不可能だった。
そしてチャンスはついに訪れた。
食事を済ませた後、みんなで街に繰り出そうということになったのだ。
賑やかなエリアにむかってみんなで歩いている途中、ふいにローズちゃんと2人で話せる機会が訪れた。
自然と、ローズちゃんと横並びになっていた。
今しかない!と思った。
僕は最高潮に高鳴るドキドキを感じながら、
前方宙返りはしなかったぜよ
勇気を出してある言葉を発した。
Te echo de menos ! (テ エチョ デ メノス)
スペイン語で I miss you (あなたがいなくなるのが寂しい) だ。
ついに言ってしまったのだ。
そして、一瞬、彼女の顔色が変わった。
にこにこ話していたのに少し真顔になったのだ。
Que significa ? (ケ シグニフィカ?) (どういう意味?)
えーっ!?
そうか、僕もこの言葉を伝えるために、スペイン語で I miss you をなんというか、辞書で調べて覚えた言葉だった。
ローズちゃんは僕が伝えた言葉の意味を知らなかったのだ。
渾身の一言だったのに、空振りに終わったかにみえた。
ここで前方宙返りをせずに
もうひと勇気振り絞った。
I miss you! (きみがいなくなるのが寂しい)
今度は英語で伝えた。
ローズちゃんはさらに真顔になった。
そして、少しの沈黙の後、こう答えてくれたのだ。
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・
Lo mismo ロミズモ (私も同じ)
えっ同じってどういうこと?・・・
僕は予想外の返答だったので聞き返した。
You miss me ? (同じ気持ちなの?)
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・
Si ! シィ (うん)
僕は、その場で腰を抜かしてしまった。
予想外のことが起きたのだ。
その後、ローズちゃんは腰を抜かしている僕を起こしてくれた。
そして
「ありがとう、残り2日しかないけど、楽しみましょ」
と、もじもじしている僕の腕を取り、腕組みをしてくれたのだ。
僕は、なんともいえない嬉しさに胸がいっぱいになった。
それまでの人生で一番喜びを感じる気持ち、
でも同時にもうすぐ失う(2度と会えなくなる)という大きな寂しさも伴った言葉には表現できない唯一の感情だった。
その夜は、2人でバーを何度かはしごしながら、いろんなことを話し合った。
そして最後はビーチに行った。
夜のビーチは暗くて静かだ。
遠くに聞こえるにぎやかな喧騒をかき消すように波の音だけが聞こえていた。
サンタバルバラ城の明かりに照らされて、砂の上で転げまわって遊んだのだった。
続く
次回 「さようなら、ローズちゃん」
次回は第6話は こちら
P.S.
当時聞いていた音楽を聴きながら、20年前の記憶に想いを馳せる。
なかなか思い出せるものだ。
それほどインパクトのある経験だったのだろう。
渾身のスペイン語でのI miss youが通じなかったときは、まさにビビデバビデブーだった瞬間…
アリカンテのシンボル、サンタバルバラ城に見守られた地中海のビーチ、
極上モヒートのおいてあるバー、コスコロンに活気で溢れるナイトクラブ♪
いつかもう一度アリカンテの地を訪れたいなあ。
by 自己卑下上等 自己肯定感を高める 炎のメンタルコーチ 平山 仁一
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TVドラマ、「世界で一番難しい恋」をみていて、あれはもっと難しい恋だったのではと振り返った恋愛ストーリー高校生編です。
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