太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第6話 ☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?
(前回までのあらすじ)
ローズちゃんの帰国日まで一週間を切り、抑えていた想いを抑えることができなくなっていた。
そして、帰国日の3日前、ローズちゃんも参加した日本食パーティーで楽しんだ後みんなで夜の街に繰り出した道中で、ふいに彼女と2人きりで話せるチャンスが訪れた。
ローズちゃんと横にならんだのだ。
今しかない!
勇気を振り絞り、ずっとしまっていた想いをついに伝えることができたのだった。
前回5話をまだの方はこちら
ー第6話- さようならローズちゃん
さらに時は過ぎ、ローズちゃん帰国日まで残すところあと一日となった。
ローズちゃんと気持ちの通じ合えた僕はとても複雑な気分の中にいた。
まさか、ローズちゃんも同じ気持ちだったなんて… 嬉しさがこみあげてくる。
でもしばらくよろこびをかみしめた後には、明日には帰ってしまうという事実が頭をよぎる。
気持ちが通じ合えたことは大きな喜びだ。
でも、お別れをしなければならない寂しさがさらに大きくなっていた。
めちゃめちゃ大きい嬉しさが、さらにめちゃめちゃ大きい寂しさに覆いかぶされてしまう感じだ。
嬉しさと寂しさの狭間で、もうわけがわからないほど切なかった。
それでも残された一日を大切にしようと、
僕たちは、朝から会って、カフェにいってCafe con leche (カフェラテ)を楽しんだ。
話をしていると、当時流行っていたデズリーの LIFE という曲が流れてきた。
LIFE ♪
OH, LIFE ♪
OH, LIFE~ ♪
OH, LIFE~ doo, doot doot dooo ♪
ローズちゃんが言った。
「La vida ラヴィダ (Life、人生をスペイン語でVidaという)、 私たちの曲ね。」
たしかに、、、
LIFE、、、人生、、、今そんな人生の大きな流れの中で、よろこびも悲しみも抱えきれないほど同時に感じていた。
カフェでゆっくりした後は、ビーチに行って静かな時間を二人で過ごした。
心地良い海風を感じながら、ただ黙って海を眺めていた。
ざざーっと引いては寄せる波の音が静かに聞こえていた。
このときが永遠に続けばいいのに
時間よとまれ・・・
もうすぐお別れを言わなければならない。
そばにいることができる嬉しさの中にはいつも、消えることがない寂しさも同居していた。
ローズちゃんとふいに目が近くで合ったとき、なにか懐かしさのようなものを感じた。
「あれっ」
変な感覚だった。
言葉では表現できないのだけど、なんか夫婦みたいな感覚。
そんなことはもちろん経験したことがない感覚なんだけど、おだやかで、前からずっと知っていたような不思議な感覚だった。
僕はそのとき思った。
ローズちゃんを日本に連れて帰りたい。
そんなことできるわけがないのはわかっていた。
でも、まともな考えができないほど、このときはLoco(ロコ、スペイン語でCrazyのこと)になってたのかもしれない。
そのときの僕は、大学を卒業したばかりで、仕事ももちろんしておらず、何をどうできるかもまったく考えもなかったのに、
このときは、結婚してでも何をしてでも、彼女とずっと一緒にいたいと感じていた。
日が暮れるまでビーチで過ごし一旦別れてから、夜になるとナッタンでまた会った。
最後の夜だ。
バーでかかっている音楽がいちいち切なさを盛り上げる。
お酒を飲むと、寂しさが身体中にしみこんでいってしまう。
もうこのバーで会うのも最後だと思うと、今ここに、ローズちゃんが目の前にいるということが、いなくなった後の空虚さを予感させてしまうのだった。
僕は、彼女のいなくなったこの街で生きていけるのだろうか?
寂しさでいっぱいいっぱいになってしまって、会話をすることができなくなっていた。
ただ黙ったままお酒を飲んだ。
Que pasa?(ケ・パーサ) どうしたの?
何度聞かれたかわからない言葉だ。
そして、最後の夜ですら時間はあっという間に流れていった。
ついにローズちゃんが帰国する朝を迎えた。
ローズちゃんは午前中に出る長距離バスでポーランドに帰る。
彼女は前日の夜にこういった。
「見送りはいらないわ。来ないで。」
辛くなるだけだから。
本当にそうだ。
見送るのが辛くてしょうがない。
僕は、見送ることができるのだろうか?
もう2度と会えなくなる彼女にさよならが言えるのだろうか・・・
でも、僕はローズちゃんに言った。
「見送らせてほしい。」
.
.
.
こうして僕は、ローズちゃんがバスでアリカンテの地を去っていくのを見送ったのだ。
ローズちゃんがバスに乗り込む瞬間に、胸の中で広がったなんともいえない感情を表現できる言葉がみつからない。
ローズちゃんはバスに乗りこむ前にこう言った。
「La vida (ラヴィダ) 、 いい人生を送ってね」
きみがいなくなるのにいい人生を送れるわけがない。
そんなさびしいことをいわないで欲しい。
それでも、精一杯の笑顔で答えていた。
「Tu tambien」(君もね)
そしてバスの扉が閉まり、発車した。
胸の中で、表現のしようがない感情が広がっていく。
同時に身体の力が抜けていく。
僕は力を振り絞って手を振り、小さくなっていくバスを見送った。
ローズちゃんのいない町に僕だけがただ一人ポツンと残されたような
何かが絶対的に欠けている感覚、そんな感覚に沈んでいくのを、ただどうすることもなく立ち尽くしていた。
さようなら、ローズちゃん
第一部完
次回 第7話は こちら
P.S.
ご愛読ありがとうございました。
僕は、この過去の恋の話を書いてストーリーとして公開するのは、めっちゃ恥ずかしかったです。
でも、人生や、恋をとめてしまう原因の一つに、恥ずかしいとかプライドが邪魔をすることがあると思うのです。
なので、あえて恥ずかしさを捨てる覚悟で書きました。
内なるコーチが問いかけるから。
「今、恥ずかしいって言った? 今できないって言った?」
ってね、笑。
あなたの内なるあなたは、なんて言っていますか?
P.P.S
これで、ローズちゃんとの恋が終わるというストーリーもあったでしょう。
でも終わらせられない僕がいました。
もう5ビビデバビデブーくらいあったのですよ、笑。
楽しみに読んでくださった方が、いてくれて嬉しいので
この先のビビデバについても、また近々書きたいと思います。
(写真は行きつけのバー、ナッタンで生徒、ホストファミリーと。ローズちゃんはいないけど。)
by 自己卑下上等! 自己肯定感を高める 炎のメンタルコーチ
無意識を味方につけて恋愛力を高める 恋愛改革コーチ
平山 仁ー
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4)プロフィール
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好きな人に想いを伝える難しさを痛感した経験をストーリーにしました。
同じように恋愛に苦手意識を持っている人を恋愛コーチングで応援しています。
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