太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第11話 ☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?
(前回までのあらすじ)
ポーランドまで彼女を追いかけてはきたものの、いざ会うと近づきたいのに近づけない。
ポーランドに住んでいる彼女をみていると、遠い遠い存在にみえた。
言いたいことも言えないまま、時間だけが過ぎ去って、帰国日がせまったある夜、
どうしていいかわからなかった僕は、酔っぱらった勢いで彼女に近寄ろうとした。
そして、思いっきり拒絶された。
拒絶されただけでなく、彼女には彼氏ができたという。
想い続けていたのは僕だけだった。
もうどうでもよくなった僕は、昼も晩もウオッカまみれになっていた。
(前話、10話がまだの方はこちら)
-第11話- 最後の夜
もうこの国ですることは何もない。
早くスペインに帰ろう。
僕は、やけくそになりながら、ひたすらお酒を飲んでいた。
普通だったら、この状態で自分を振った女性にもう一度会うことはないだろう。
でも、帰国が翌日にせまると、ローズちゃんに会いたいという気持ちがまだ残っていることに気づいていた。
彼女はポーランド人だ、今度こそ、もう一生会うことができなくなる。
もう一生会えないという現実、これが最後だという現実は、人を普段とは違う行動を取らせるのかもしれない。
短時間での気持ちの切り替えは難しかったが、それでも最後の日を楽しもうと気持ちを切り替えた。
僕の中にあったまだ消えない恋の気持ちは脇において、ローズちゃんをただの友達とみて接することにしたのだ。
彼女も帰国日前日に会いに来てくれた。
彼女には酔っぱらって近づこうとしたことを謝ると、少し怪訝そうな表情になったけど許してくれた。
彼女は昼間からポズナンの町の中を案内してくれた。
おもしろい建物があるという。
時間になると2匹のヤギが扉から出てきて頭をぶつけあう建物があると聞いて、見に行った。
機械仕掛けで、ぎこちなくでてきた2匹のヤギが頭をコツンコツンとぶつけ合う。
(写真は、そのヤギが出てくる建物。ローズちゃんが、のっていない写真は結構残っているもんだ)
なぜか、この頭をぶつけあうヤギをみた印象が今でも強く残っている。
なんでもないことなのに。
そして、最後の夜、ローズちゃんの家で彼女の家族と一緒にディナーをしようと招待してくれた。
ローズちゃんの父親、母親、母親の友達?、ローズちゃんだ。
今となってはもう残っていないが、そのときのソファで並んで取った写真が、僕とローズちゃんの間に父、母、母友が入り、ものすご~く距離があったのを覚えている、苦笑。
ローズちゃんの家に行くのはこのときが2回目だった。
1回目は、ポーランド料理をローズちゃんの手作りでごちそうしてくれた。
ポーランドの家の雰囲気や、食卓の雰囲気、郷土料理、そのすべてが新鮮で楽しかった。
そして、今度は、僕がローズちゃんの家族に料理を作りたいと申し出たのだ。
カレーライスだった。
僕はこんなこともあろうかとスーツケースにバーモントカレーのルーを忍ばせていたのだ。
幸い、ローズちゃんの父親も、母親も、母友も、ローズちゃんも美味しいと言って食べてくれた。
その食事のあとの出来事がとても印象的だったので、書きとめておきたい。
食事がすんだあと、ローズちゃんの部屋に行って2人で話をしていたときのことだ。
彼女への想いを横においていたからか、もう最後だからだったのかはわからない。
そのときの僕は、ローズちゃんとすごく自然に接することができた。
普通に友達と盛り上がる感覚だ。
振られた直後に、こんな状態で話せている自分が不思議だった。
ローズちゃんに好意を持ってから、こんな感覚で話せたことはなかったかもしれない。
いろいろ話をしていると、ローズちゃんが日本に遊びに行ったことがあるという話になった。
スペインにいたときにも、ローズちゃんが日本に来たことがあることは聞いていた。
そして僕の故郷である奈良に訪れたことも聞いていた。
外国人であれば、京都や奈良に訪れるのは、よくあることなのでそのときはそれほど驚きもしていなかった。
でも、その日知ったことには驚いた。
旅行に行ったときのビデオや、写真を見せてくれながら日本の話をしていたときだ。
「そして、これが奈良にいったときの写真よ」と、いくつか見せてくれた中で、目がとまった写真があった。
民家の庭で、ローズちゃんと一緒に笑って立っている女性にどうも見覚えがあるのだ。
どうみても、高校の時の同級生だった。
この子の名前はアキ(仮名)ではないか?
と聞くと、そう、アキよ!
えっ、どうして知ってるの!?
彼女は驚いた。
彼女が日本を訪れた友達が、僕の高校のときの同級生だったことに、えらく盛り上がったのだった。
振られた直後に、
昔、彼女が僕の実家のすぐ近く(隣の市)まで遊びに来ていたことを知るなんて。
しかも、日本を訪れた彼女の友達が、僕の高校のときの同級生だったことを知るなんて。
ポーランドに来ていなかったら知る由もない事実だった。
世界は狭いでは済まされない縁のようなものを感じた。
そしてそれが振られた直後だっただけに、こんな縁、いまさら・・・と苦笑したくもなった。
意味わからん
こうして、ポーランド滞在の最終日は、友達として楽しく過ごすことができたのだ。
そして、翌朝、僕はローズちゃんに見送られ、ポーランドの地を去った。
僕が、列車に乗り込む前に、ローズちゃんは言った。
ジニュチ、早くいい人をみつけて。
幸せになってね。
さようなら。
そういわれても困る。
振られた直後に、好きだった人をすぐに忘れられるわけがない。
早くいい人をみつけてねと言われても、みつけられるわけがないと頭の中によぎったが、精一杯の笑顔を作って答えた。
Si, うん!
ローズちゃんも幸せに。
さようなら
彼女への想いをポズナンに残し、列車は発車した。
こうして、僕のポーランドの旅が終わった。
彼女への恋とともに。
続く
次回 -グラナダの手紙ー
次回 第12話は こちら
P.S.
長々とお付き合いいただきありがとうございます。
次回、最終話です。 (^^)/
by 自己卑下上等! 自己肯定感を高める 炎のメンタルコーチ
無意識を味方につけて恋愛力を高める 恋愛改革コーチ
平山 仁ー
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