太陽系で一番難しい恋 <スペイン留学編> 第8話 ☆どうして好きな人には伝えたいことをうまく伝えられないのか?

(前回までのあらすじ)
ローズちゃんが帰国して、およそ2か月がたったころに受け取った手紙。
その手紙に書かれてあった一言に心が惹かれた。
ポーランドに遊びに来る?
でも、僕には、学生VISAの問題で、スペインを一旦出ると再入国できないかもしれないという不安があった。
ずっと悩みながら、抜け殻のような生活を送っていると、僕の気持ちがだんだん固まっていった。
多少のリスクをおかしてでも、ポーランドに行きたい・・・
そう思うようになっていた。
前話、7話がまだの方は、こちら
-第8話ー すれ違う想い
ポーランドに行って、ローズちゃんにもう一度会いたい・・・
そう考えるようになると、いてもたってもいられなくなった。
もう一度会えるかもしれないのだ。
ローズちゃんにすぐに相談をしたかったが、手紙だとやりとりに1か月以上かかってしまう。
当時はEmailがなかったので、手紙だとこんなに時間がかかったのだ。
幸い、ローズちゃんが帰国する前に、ポーランドの住所や電話番号をもらっていた僕は、電話でポーランドに行きたいことを相談することにした。
国際電話のプリペイドカードを購入して、外にある公衆電話からかけることにした。
電話で、スペイン語で会話するというのは、まだ初心者レベルから脱していない僕にとっては、かなりハードルが高かった。
会って話す分には、身振り手振りも混ぜて、伝えることができる。
つたない言葉でも分かり合えた気にもなれる。
だが、電話だと顔がみえない、声だけだ。
電話でうまくしゃべることができるだろうか・・・
そんな不安も抱えながら、緊張を抑えて電話をかけた。
プルルルル♪
( ゚Д゚)
プルルルル♪
( ゚Д゚)
ガチャ、
「プシュポシュプワー」
ポーランド語だ、何を言ってるのか、さっぱりわからない。 ( ゚Д゚)
(プシュプシュとしか聞こえない・・・)
・
・
・
声からしてローズちゃんのお母さんだろう。
携帯電話のなかった時代は、どうしてもお母さんの壁をとおらなければならないらしい。
電話に出たのがローズちゃんの母親、しかもポーランド語で出てこられたので、僕の緊張感は増した。
僕は、できるだけ落ち着いて、英語でローズちゃんと話したいことを伝えた。
幸い、彼女はわかってくれたみたいだ。
一言なにか言われたあと、受話器から離れた気配がした。
そして、少したってローズちゃんの声が聞こえた。
「プシュポシュプワー」
ローズちゃんまでポーランド語かい!?
久しぶりに聞くローズちゃんの声に嬉しさと緊張がこみあげた。
ソイ、ヒニチ
スペイン語で僕の名前 jinichi は、ヒニチになってしまう。
Oh、ジニュチ?
彼女は僕の名前を正確に発音できなかった。
どうしてもポーランド語なまりになってしまう。
でもその訛りで呼ばれるのを訂正はしなかった。
その訛りがなんとなく好きだったからだ。
ヒニチにジニュチ、ただしくはジンイチ、名前ひとつ正確ではないやりとりが始まった。
電話で初級レベルのスペイン語で話し合うということは、想定通り簡単にはいかなかった。
やり取りの中で、どうしても沈黙がおこってしまう。
会って話しているときには、気にならなかった沈黙が、どうも居心地が悪い。
それでも、元気?とか近況を話し合ったあとに、本題であるポーランドに遊びに行きたいことを彼女に伝えた。
なぜか、ローズちゃんのトーンが少し落ちたのを声から感じた。
あれっ
あれほど手紙では歓迎モードだったのに・・・
あまり気乗りしない反応に、話すことができた嬉しさも消沈してしまいそうだった。
ローズちゃんは言った。
ジニュチ、遊びに来てくれるのはうれしいことだわ。
でも今は、弁護士になるための試験勉強でとても忙しいの。
会うのは難しいかも。
少し考えさせて。
あとあと知ることになるのだが、このころには気持ちのすれ違いがあったのだ。
ローズちゃんが手紙を書いてスペインに届くまでに1か月近いタイムラグがあった。
そして僕がポーランドに行くか、行かないかと悩んでいた数週間も合わせたこの2か月の間に、彼女の状況や心情がすっかり変わっていたことをそのときの僕は知る由もなかった。
そのあとも、なんどか電話のやりとりをして、やはりローズちゃんはあまり気が進まなさそうだということを感じ取れることができた。
正直、彼女が気の進まない中で、ポーランドに行きたいと望み続けるのは、悪いような気になっていた。
それでも、このときの僕には、どうしても消し去ることができないあきらめの悪さがあったのだ。
・
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そして、なんどか電話のやりとりをしていると、この日だったら、ポーランドに来ても、会えると言ってもらえたのだ。
彼女の気持ちが進まないことを感じ取っていたので、なんだか振られに行くようなもののような気がして、心はあまり弾まなくなっていた。
振られに行くためにスペイン滞在のリスクをかけていくべきだろうか・・・
冷静に考えると行かない方がいいように思えてくる。
それでも、このときの僕は、もう一度あの頃のように気持ちが通じ合えるようになりたいという想いの方が強かったのだろう。
いや、こんなモヤモヤした気持ちのままで、ずっと会えないというのが、ただ耐えられなくなっていただけなのかもしれない。
こうして逆風の中、ポーランド行きが決まったのだった。
続く
次回 -再会-
次回 第9話は こちら
P.S.
今では外国にいくのは当たり前のような感じだが、当時はポーランドという国に一人で行くことは、とても不安だったことを覚えている。
東欧には、なんとなく寒くて、冷たいイメージを持っていたし。
しかも、彼女が気が進まないことに、気づいていたのに。
知らないふりをしていたのか・・・
それでも、どうしても行きたかったんだな~と当時を振り返りました。
by 自己卑下上等! 自己肯定感を高める 炎のメンタルコーチ
無意識を味方につけて恋愛力を高める 恋愛改革コーチ
平山 仁ー
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